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人工知能と知財(知財政策)

1.人工知能関連の審議会一覧

人工知能関連については政府でも様々な審議会が設置され、検討が進められています。

 

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新たな情報財検討委員会(第4回)参考資料2より引用

 

かなり多くの審議会があって配付資料を読むだけでも大変なのですが、見ていった結果、これらのうちで知財に関連するものは、以下の3つのようです。

 

2.人工知能知財について審議会で検討されていること

検討されている項目は多岐にわたるのですが、私はざっくり以下の3つに分けられると思いました。

 

(1)「データ」の保護

IoT技術などの進展により、収集した「データ」そのものが価値を持つようになってきたわけですが、現行知財制度でどのように保護されるのか必ずしも明らかではありません。そこで、「データ」に関する知財制度上の保護のあり方について検討するというものです。(詳細は3.①~④参照。)

新たな情報財検討委員会の委員長を務められている中村さんのツイートを見るだけでもいかに難しいテーマかが分かります。

 

(2)人工知能による創造物の保護

少し前に、人工知能によって創作された小説が星新一賞の一次審査を通過したことが話題になりましたが、このようにして創作されたものをどのように保護すべきなのか、という話です。(詳細は3.⑩参照。)

 

(3)その他

サーバーと端末とが国を跨がって存在するような場合に、日本の特許権で権利行使できるか(⑥)ですとか、パテントトロール対策(⑦)など以前からあった論点です。(詳細は3.⑤~⑨、⑪参照。)

 

3.(補足)審議会資料における検討項目の記載

新たな情報財検討委員会

① データに関しては、現行知財制度において「知的財産」として各種の知的財産権等で保護されるものと それ以外のものに分類されると考えられるが、本検討委員会では、産業競争力強化の観点から、利活用促進が期待されているものの、現行知財制度上の保護の範囲が必ずしも明確でないものを中心に検討することとする。

 

新たな情報財検討委員会(第4回)資料3より引用

  

営業秘密の保護・活用に関する小委員会

② 委員や産業界から、保護することが望ましいデータとご提案をいただいた事例には、営業秘密としての保護が必ずしも明確ではなく、事業者が法的保護の予見可能性を高く持ちながら事業活動に取り組むことが難しくなっている場合がある。当該データにつき、その保護の在り方についての検討を行う。

 

営業秘密の保護・活用に関する小委員会(第7回)資料6より引用

 

 第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会

<データの利活用>
③ データベースや関連技術に係る保護制度の検討
データベース、暗号化等により保護された情報、人工知能・画像解析技術等につき、適切な保護について議論し、現行の著作権法不正競争防止法等における保護状況を踏まえた上で、必要に応じて、データベースの違法コピーの禁止等の措置の導入を含めた新たな法制度の在り方について検討する。

 

④ 企業間におけるデータに係る契約形態の検討
企業間におけるデータの利活用、契約に係る調査研究を通じてそれらの実態を把握し、その結果を踏まえ、データ利活用を促進するための契約形態等の在り方について検討する。

 

産業財産権システム>
⑤ 標準必須特許問題の解決
情報通信技術の標準規格を利用する製品を製造するために回避できない特許権について、権利者と利用者のバランスをどのように調整するべきか。

 

⑥ 国境を跨いだ侵害行為に対する適切な保護
サーバーと端末とが国を跨がって存在するような場合に、我が国で設定された特許権を行使することができるか。行使できるのは、どのような場合か。

 

特許権行使専業企業等への対応
ITの普及に伴い特に米国において問題となっている特許権行使専業企業(Patent Assertion Entities)(※)の、我が国における実態把握とその対応。
※自らは製造販売を行わず、ライセンス料や高額な和解金を得ることを目的とした権利行使をビジネスとする者。「パテントトロール」とも称される。

 

⑧ ビジネス関連発明を活用した国際競争力の強化
我が国におけるビジネス関連発明の権利化の予見性の高さを利用して、ソフトウェアやビジネス関連の分野で、日本企業が特許ポートフォリオを構築できるのではないか。

 

⑨ データ構造の保護
データ構造に対する特許審査における判断の手法を示す必要があるのではないか。

 

⑩ AIによる創作物の保護
AIの活用により、創作に対する人間の関与が小さくなった場合に、発明の保護や発明者をどのように考えればよいか。

 

⑪ 中小企業の事業展開支援
日本の中小企業やベンチャー企業が国内外でビジネスを行ううえで必要となる知財の取得を、いかに効果的に支援していくか。

 

第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会(第1回)資料2より引用

※上記丸数字は筆者が付与。